<はじめに・・・データで改めて明らかになった、江戸川区の子育て家庭の特徴>
報告書には総務省統計局の平成12年国勢調査による子育て家庭の年齢別就労率が引用され、 23区と比較し「子育て中のおかあさんは働いていない割合が高い」と記載されています。
これらのデータは子ども家庭調査実態報告書18・19頁および概要版の11頁(但し概要版では一部数値の省略あり)の記載を引用。 ちなみに調査項目はこちらです。子ども家庭調査実態報告書本体は区内図書館で閲覧・貸出しています。 |
推進法の対象となる子育て家庭は未就学児のいる家庭に限りません。●その2 この設問・選択肢、何だかおかしいぞ!
厚生労働省の通知を受けて(財)こども未来財団が作成した「地域行動計画策定の手引き」(平成15年8月)でも、「1ニーズ調査の実施方法」の(1)で調査対象について「子育て家庭の生活実態やサービスニーズは子どもの年齢により異なることから、ニーズ調査は大きくは就学前児童(4月1日現在、0歳〜5歳)と小学校児童(1年生〜6年生)に区分して行うことが望ましい。」とされています。
推進法上のニーズ調査としては本調査は不十分で、小学校児童についてもニーズ調査が必要です。
- (1)
- 「望ましい家庭保育期間」についての設問(問23の1)の選択肢に、「0歳(1歳未満)」がない!
⇒あらかじめ「0歳(1歳未満)」という選択肢を排除しておくことで、「0歳児は家庭で」という区の方針に恣意的に誘導しようとしていると勘ぐられてもおかしくないでしょう。
さらに次に続く「望ましい子育てができない理由(複数回答)」には「仕事を休めない」などの理由がありますから、育休が取れない場合等を考慮して0歳(産休期間)・0歳(育休期間)とすべきではないでしょうか。(また、設問は、1歳・2歳・3歳・就学前となっており、4歳、5歳の選択肢がないのも不自然です。)
- (2)
- 「子育て支援サービスにおける民間活力導入」についての設問(問35)には、「区民のニーズに対応し、質の高いサービスを効率的に提供していくために、民間企業の進出(民間活力導入)…」と書いてある!
⇒「ニーズに対応した質の高いサービス」が提供されるなら、大部分の人は賛成するでしょう。
問題は、本当に「質の高いサービス」になるのかという点であり、民間活力導入のメリットを強調してデメリット・懸念事項には全く触れないという問の設定は、フェアとは言えません。
●その3 「望ましい家庭保育期間は3歳位まで」が57.3%だからといって
保育サービスの拡充はいらないって言えるの??
そもそも今回の調査回答者(*)に母親が働いていない家庭が多い(62.8%)のですから、この結果は当たり前とも考えられます。●その4 「江戸川区が子育てしやすい環境であると思う」が94.9%だからといって、
区は、この結果を受けて「保育サービスの充実よりも3歳まで家庭保育できる環境づくりが必要で、それは雇用環境の問題もあり区だけではできない」と言っているようですが、両親の就業状況によってニーズが大きく異なるのですから、求める保育サービスが違う世帯ごとにそれぞれ分けて考えるべきです。
また、望ましい家庭保育ができない理由(設問23の3複数回答可)は、「経済的な理由等で仕事をしなければならない」が53.6%(1位)、「仕事を続けたい、したい」が33.0%(3位)であり、仮に子供が3歳になるまで育休を取りやすい雇用環境が整ったとしても、保育サービスのニーズは無くなりません。
本報告書でも、「江戸川区の子育て支援に関する課題」として、「家庭養育者をターゲットとした子育て支援策の充実」と並んで「働きながら子育てしていくことを支援するサービスの充実」を明記しており(220頁)、保育サービスの拡充が必要と言っています。*調査回答者は2,754人(調査対象母集団45,066人のうち3,000人を対象にアンケートを実施した回収数が2,754・・・調査回答者数)
子育てしやすいと思う理由は、「公園や広場が整備されている」等の周辺環境によるものが多く、「子育てのためのサービスや施設が整っている」と思う人は51.1%と全体評価の94.9%に比べてかなり低い数字になっています。
さらに、子供が幼稚園に通っている家庭は53.9%が「サービス・施設が整っていると思う」と回答しているのに対し、子供を保育園等に預けている家庭は逆に過半数(50.6%)が「サービス・施設が整っているとは思わない」と回答しています。
つまり、主な保育サービス利用者である保育園等に子どもを預けている家庭の過半数が現状のサービスや施設の水準に満足していないのですから、現状より保育サービス・施設を充実させる施策が必要であることは明らかです。
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